
商業施設に設置する防犯カメラの種類と導入時のポイント
商業施設では、広い空間に不特定多数の人が出入りすることから、さまざまな犯罪やトラブルが起こる可能性があります。
利用者が安心して訪れられる施設環境をつくるには、防犯カメラによって犯罪やトラブルの抑止力を高める対策が求められます。
施設管理者のなかには「防犯カメラにはどのような種類があるのか」「施設内のどこに設置するとよいのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、商業施設に防犯カメラを設置する目的や種類、主な設置場所、導入する際のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.商業施設に防犯カメラを設置する目的
- 1.1.万引き・置き引き・車上荒らしの防止
- 1.2.利用者同士や従業員とのトラブル対策
- 1.3.迷子の早期発見
- 1.4.マーケティング施策への活用
- 2.商業施設で用いられる防犯カメラの種類
- 3.商業施設における防犯カメラの主な設置場所
- 4.商業施設に防犯カメラを導入するポイント
- 5.まとめ
商業施設に防犯カメラを設置する目的
規模が大きい商業施設では、警備スタッフがすべての店舗・フロアを巡回して常時監視することは難しいといえます。防犯カメラを設置すると、管理室から店舗・フロアの様子を監視して録画することが可能です。
商業施設に防犯カメラを設置する目的には、以下が挙げられます。
万引き・置き引き・車上荒らしの防止
防犯カメラを設置する目的の一つは、店舗での万引きや休憩スペースでの置き引き、車上荒らしなどの犯罪を防止することです。
不特定多数の人が出入りする商業施設では、店舗の従業員や警備スタッフの目を盗んで商品の万引き、手荷物の置き引きが発生することがあります。また、人の出入りが少ない時間帯に車上荒らしが発生するケースも考えられます。
防犯カメラを設置すると、監視されているという意識が生まれて犯罪の抑止につながります。
利用者同士や従業員とのトラブル対策
商業施設に訪れた利用者同士または従業員とのトラブルを早期発見して、迅速な解決を図ることも防犯カメラを設置する目的の一つです。
レジでの会計や迷惑行為、車の接触事故などのトラブルが発生した際に、事実確認ができないことで解決が難しくなるケースがあります。
防犯カメラを設置すると、トラブルが起きた際の様子を映像で記録して事実確認に役立てられるため、事態の収束につながります。
迷子の早期発見
防犯カメラは、迷子を早期発見するために役立ちます。
商業施設では小さな子どもを連れた利用者も訪れることから、混雑する時間帯では迷子になってしまう可能性があります。
防犯カメラを設置すると、迷子になった場所から子どもの足取りを辿ったり、リアルタイムで居場所を探したりして効率的に捜索することが可能になります。
マーケティング施策への活用
防犯カメラは、犯罪やトラブルの防止に役立てられるだけでなく、店舗運営のマーケティングにも活用できます。
利用者の動きを映像データとして記録すると、混雑しやすい店舗・エリアを特定して商品陳列の方法や誘導ルートの見直しを図れます。
また、リアルタイムな混雑状況を把握してセールやイベントなどの情報を館内アナウンスで放送することで、購買行動を促せます。
商業施設で用いられる防犯カメラの種類
商業施設に設置する防犯カメラには、主に3つの種類があります。
▼防犯カメラの種類
種類 |
特徴 |
バレット(ボックス)型 |
筒型で保護ケースが備わったカメラ。焦点を固定して撮影したい方向をピンポイントで収められる。 |
ドーム型 |
半球型のカメラ。360度の撮影に対応している。 |
PTZ型 |
半球型のカメラ。遠隔操作で撮影方向やズームイン・ズームアウトができる。 |
バレット型の防犯カメラは、店舗やフロアの一角に設置して撮影したい方向を固定できます。存在感があるため、犯罪の抑止効果が期待できます。主に店舗の死角となりやすい場所や駐車場、施設の通用口などに適しています。
ドーム型は、バレット型と比べて目立ちにくい形状となっており、店内やエントランスなどの内観を損なわずに設置したい場合に導入されています。
PTZ型は遠隔操作によって制御できるため、一台で異なる場所を撮影することが可能です。ただし、撮影方向を変えると死角ができることから、固定焦点のカメラとの併用を検討する必要があります。主にエントランスや休憩スペースなどの広範囲を撮影する場合に適しています。
商業施設における防犯カメラの主な設置場所
商業施設では、人の目が届きにくい場所や警備スタッフが常駐していない場所、人の出入りが多い場所などに防犯カメラが設置されています。
▼主な設置場所
設置場所 |
撮影方法 |
出入り口 |
施設の出入り口や従業員用の通用口において、訪れた人の顔が映るように撮影する |
レジ |
金銭の授受やレジの操作など、従業員・利用者の手元が分かるように撮影する |
店内 |
従業員が立っている場所や通路側から死角になっている陳列棚・エリアを撮影する |
飲食エリア |
フードコートやレストラン、休憩スペースなどで、人の出入りと座席などを俯瞰して撮影する |
駐車場 |
駐車スペースや車路において、ナンバープレートが見えるように撮影する |
バックヤード・倉庫 |
従業員専用のバックヤードへの出入りや商品保管棚などでの作業が見えるように撮影する |
なお、スタジアムに防犯カメラを設置した事例については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
商業施設に防犯カメラを導入するポイント
商業施設に防犯カメラを導入する際は、撮影範囲や機能性などを考慮して設置場所に合った製品を選ぶことが重要です。
なお、防犯カメラを設置した事例についてはこちらのページをご確認ください。
➀防犯カメラを組み合わせて死角をなくす
撮影方向や範囲が異なる防犯カメラを組み合わせて設置して、死角が生まれないようにすることがポイントです。
1台の防犯カメラを設置する場合、撮影できる画角や設置場所、店舗のレイアウトなどによって死角が生まれることがあります。防犯カメラを併用することで、幅広い撮影範囲をカバーできます。
▼防犯カメラを併用する際のポイント
- 常時監視が必要となる重要な場所には定点カメラを設置する
- 360度の首振りができるカメラで広範囲を俯瞰して撮影する
- 人の出入りが激しい場所や通路では、上下左右に撮影方向を変えられるカメラを設置する など
また、店内に設置する防犯カメラの場合、陳列棚の配置や動線を変えることによって新たに死角が生まれる場合もあります。レイアウト変更を頻繁に行う場所については、防犯カメラの移設・増設がしやすい設計にしておくことが重要です。
②撮影場所に適した機能を持つ製品を選ぶ
どのような場所で防犯カメラを設置するかを踏まえて、対象物の撮影に適した機能が備わった製品を選ぶ必要があります。
防犯カメラによって撮影できる画角や距離、画質などは異なります。事前に必要な機能を洗い出しておくことがポイントです。
▼防犯カメラ機能の選定例
撮影場所 |
選定例 |
レジ |
画素数が高くズーム機能が備わった防犯カメラ |
屋内駐車場や
バックヤード
|
存在感があるバレット型の防犯カメラ |
屋外の駐車場 |
暗闇での撮影が可能な赤外線機能や保護ケースが備わったバレット型の防犯カメラ |
フロアや通路 |
人の動きを追えるPTZ型や、広範囲での撮影ができるドーム型の防犯カメラ |
店内 |
目立ちにくいドーム型カメラの防犯カメラ |
③防犯設備の専門会社によるサポートを受ける
商業施設に適した防犯カメラを設置するには、防犯設備の専門会社によるサポートを受けることも一つの方法です。
▼防犯設備の専門会社を選ぶ際のポイント
- 商業施設への施工実績が豊富か
- アフターフォロー体制の体制が整っているか
- 防犯設備士が在籍しているか
商業施設への施工実績が豊富な専門会社のサポートを受けることで、設置する防犯カメラの種類や設置場所について施設のレイアウトに適した提案をしてもらえます。また、アフターフォロー体制が整っている専門会社であれば、レイアウト変更を頻繁に行う店舗にも対応可能です。
防犯設備士とは、建物における防犯のアドバイスを行う資格者です。犯罪手口や安全対策に詳しいプロの視点から、施設・店舗に必要な防犯設備と設計上のアドバイスを受けられます。
なお、専門事業者の選び方についてはこちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、商業施設の防犯カメラについて以下の内容を解説しました。
- 商業施設に防犯カメラを設置する目的
- 商業施設で用いられる防犯カメラの種類
- 防犯カメラの主な設置場所
- 商業施設に防犯カメラを導入するポイント
商業施設の防犯を強化して利用者が安心できる環境をつくるには、防犯カメラの設置が必要です。店舗・フロア・出入り口・駐車場などに防犯カメラを設置することで、万引きや車上荒らしの防止や利用者同士のトラブル対策、迷子の早期発見につながります。
防犯カメラを設置する際は、複数のカメラを併用して死角をなくすとともに、設置場所と撮影対象を踏まえて必要な機能を選ぶことがポイントです。
東京通信電設では、商業施設をはじめオフィスや公共施設、コンサートホールなどにおいて、防犯カメラの設計・施工と保守メンテナンスを行っております。利用者の安心・安全な施設づくりを実現します。
詳しくは、こちらのページをご確認ください。
防犯カメラの導入事例は、こちらの記事で紹介しています。