
音響設備工事を依頼するには? 確認事項と事業者選びのポイント
ホールや商業施設、公共施設などの音響設備は、音声・音楽をより快適に聴こえやすくしたり、音を使って空間を演出したりする役割があります。
音響設備のシステム構成は多岐にわたり、設計や施工については専門知識が求められるため、外部の事業者に依頼することが一般的です。
施設を運営するご担当者のなかには「どのような流れで工事を依頼するのか」「事前に確認しておくことはあるか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、音響設備工事を依頼する流れと確認しておく事項、事業者を選ぶポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.音響設備工事を依頼する流れ
- 2.音響設備工事を依頼する際の確認事項
- 3.音響設備工事の事業者を選ぶポイント
- 3.1.①依頼できる業務範囲を確認する
- 3.2.②過去の実績を確認する
- 3.3.③建築や音響に関する技術力を確認する
- 4.まとめ
音響設備工事を依頼する流れ
音響設備工事を依頼する際は、以下の7つの手順で進行します。
▼主な流れ
- 事業者によるヒアリングの実施
- 音響システムの設計、設備・機材の選定
- 基本計画の提案書・見積書の確認
- 契約の締結
- 工事の実施
- 完了検査と音響調整
- 引き渡し
基本計画を立てる際は、事業者による施設の現地調査を行ったうえで、規模や用途に応じた音響システムの構成を検討します。そのあと、音響設計の目標に沿って具体的な施工図や系統図、仕様図などを作成して工事を行います。
工事の完了後は、当初の計画と設計図に基づいた音響環境となっているか、遮音性能や室内音響、設備騒音などを測定して最終調整を行います。
施工にかかる費用と期間については、施設の規模や導入する音響システムの内容によって変わるため、事前に見積り・スケジュールを確認しておくことが重要です。
音響設備工事を依頼する際の確認事項
音響設備工事をスムーズに依頼するためには、どのような音響環境をつくりたいのか要望をまとめておく必要があります。
▼依頼前に確認しておく事項
- 音響設備を導入する施設の用途
- 収容人数
- 建物音響(※)
- 音響設備を設置する場所
- 音が届いてほしい範囲
- 施工予算 など
音響設備によって音を届ける範囲や伝わり方、調整できる音質・音色などに違いが生まれます。どのように施設を利用するかによって適した音響設備が異なるため、事前に用途を明確にしておく必要があります。多目的で施設を使用する場合にも、想定されるシーンを洗い出しておくことがポイントです。
また、施設の収容人数と建物音響は、音響設備の出力やスピーカーの設置場所などを考えるうえで必要な情報となります。
建物音響の特性によって、音の広がりやすさや反響のしやすさ、周囲への音漏れなどが変わるため、事前に共有しておくと基本設計・現地調査をスムーズに進行できます。
施工予算については、複数の事業者に見積りを依頼して費用相場を確認しておくと、予算の策定・調整がしやすくなります。
なお、音楽ライブや演劇などを行うホールの音響システムについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
※建物音響とは、建物の構造・形状や遮音性、防音性などの建物自体の音響特性のこと
音響設備工事の事業者を選ぶポイント
音響設備工事を依頼する際は、要望に沿った提案・施工を行ってもらえるか事業者の実績や技術力などを確認することが重要です。
①依頼できる業務範囲を確認する
音響設備工事について、どこまでの対応を依頼できるか業務範囲を確認しておく必要があります。
音響システムの設計段階から施工まで一貫して対応してもらえる事業者を選ぶと、要望や意図が伝わりやすくなるほか、現場で生じたトラブルについて設計部門へ迅速なフィードバックを行えます。
▼業務範囲に関する確認事項
- 提案・設計・施工までのプロセスを同じ事業者に依頼できるか
- 多種多様な音響設備・機材を取り扱っているか
- 工事完了後の保守・メンテナンスに対応しているか など
②過去の実績を確認する
過去にどのような施設の音響設備工事を手掛けているか、実績を確認することもポイントの一つです。
ホールや商業施設、公共施設などの音響設備工事では、施設の用途・規模によって求められる音響システムの構成が異なります。
事業者によって音楽や演劇などの音響に特化していたり、幅広い施設に対応していたりするため、得意とする分野を確認しておくことが重要です。実績が豊富な事業者を選ぶと、施設に適した理想的な音響環境を提案してくれることが期待できます。
③建築や音響に関する技術力を確認する
事業者を選定する際は、音響設備工事の設計・施工に関する技術力について確認しておくことが重要です。
専門的な知識を持つ技術者がいる事業者を選ぶと、施設に合った高機能かつ付加価値のある音響システムの提案や、要望と予算のバランスを踏まえた高品質の施工が期待できます。技術についての記載がない場合、問い合わせや見積り時などに確認することをおすすめします。
▼技術力に関する確認事項
- 一級建築士や舞台機構調整技能士などの資格を保有しているか
- 音響技術者が現場の設備工事に携わっているか
- 音響設備の性能を測定してデータ化できるか など
まとめ
この記事では、音響設備工事について以下の内容を解説しました。
- 音響設備工事を依頼する手順
- 工事の依頼前に確認しておく事項
- 音響設備工事を依頼する事業者を選ぶポイント
音響設備工事を依頼する際には、ヒアリングに基づいた提案から具体的な音響システムの設計、施工、音響検査に至るまでさまざまなプロセスが発生します。スムーズに工事を進行するには、事前に施設の用途や収容人数、建物音響、施工予算などを確認して事業者に共有できる状態にしておくことが重要です。
また、事業者によって対応できる業務の範囲や得意とする分野、提案力・技術力などに違いがあります。提案から設計、施工に至るまで一貫して対応してくれる事業者を選ぶとともに、過去の実績や技術者の資格・スキルなどを確認しておくことがポイントです。
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