「壊れたらその時に対処すればいい」

多くの企業がそう考えて、設備の保守契約を見送っています。確かに、年間数十万円の保守費用は決して安くありません。しかし、その判断が後に数千万円規模の突然の出費を招くことになるとしたら？

実際に起きたケースをご紹介しましょう。ある企業では、10年前に導入した音響・映像設備の一部が故障しました。修理を依頼したところ、既に生産終了から8年が経過しており修理不可能。さらに悪いことに、互換性のある後継機種も存在せず、結局システム全体の改修が必要に。予算計画にない3,000万円の緊急支出を余儀なくされたのです。

これは決して珍しいケースではありません。

「節約」のはずが、逆に高くつく現実

保守契約を結ばないことで本当に節約できているのでしょうか？データを見てみましょう。

20年間の設備維持費用の比較（1,000万円規模の設備）

結果：保守契約があったほうが15%も維持費用が安くなる

「目先の費用を削減したつもりが、長期的には大きな損失につながる」――これが保守契約なしで設備を運用した企業の現実です。

見えない敵：粉塵と埃の恐怖

「たかが埃」と思っていませんか？

実は、機器故障の原因トップは粉塵や埃の蓄積です。音響設備、映像設備、防犯カメラ、非常用放送設備など、建物に据え付けられた設備は日々、確実に汚れを蓄積しています。

粉塵・埃が引き起こすトラブル：

• 冷却ファンの目詰まりによる過熱
• 吸排気フィルターの機能低下
• 基板回路のショート
• 製品寿命の大幅な短縮

メンテナンス前後の機器内部を見れば、その深刻さは一目瞭然です。しかし、専門業者以外が清掃を試みると、感電や新たな故障を引き起こす危険性があります。

時間もお金も失う：故障からの復旧が遅れる理由

保守契約を結んでいない場合、故障が発生すると次のような事態に直面します。

ケース1：優先順位の問題

「新規導入工事ばかり優先され、故障対応は後回し。復旧まで数週間待たされた」

ケース2：記録の欠如

「10年以上前の設備のため、当時の担当者はすでに退職。設備の詳細が誰も把握していない」

ケース3：連絡不通

「導入した会社の連絡先が分からない、または既に廃業していた」

一方、保守専門部門を持つ会社と保守契約を結んでいれば、迅速な対応が期待できます。設備の履歴も管理されているため、スムーズな復旧が可能です。

時限爆弾：製品の生産終了リスク

設備は5年、10年、あるいはそれ以上使用するのが一般的です。しかし、その間に使用している製品が生産終了になることは珍しくありません。

生産終了後の修理対応期間：通常5〜8年

この期間を過ぎると、修理は不可能になります。さらに深刻なのは、技術の進歩により規格や仕様が変わり、後継機種との互換性がなくなるケースです。

最悪のシナリオ

「一部の機器故障」→「互換性なし」→「システム全体の改修が必要」→「数百万〜数千万円の急な出費」

保守契約を結んでいれば、専門業者から事前に以下のような提案を受けられます：

• 修理不可能になる前に予備品を確保
• 全体改修の最適な時期を提案
• 計画的な予算積立てのサポート

まとめ

後悔する前に、今できること

機械設備に「絶対壊れない」保証はありません。「いつかは壊れる」ことを前提とした設備運用が必要です。

保守契約を結ばないことで増大するリスク：

✗ 急な多額の出費（数百万〜数千万円）

✗ 復旧に多大な時間がかかる

✗ 結果的に総コストが高くなる

保守契約を結ぶことで得られる安心：

✓ 長期的なコスト削減（15%以上）

✓ 迅速な故障対応

✓ 計画的な設備更新

✓ 予算の平準化

「より永く」「より安心して」、そして場合によっては「より安く」設備をお使いいただくために、保守契約の締結を強くお勧めします。

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